リクエストオブジェクトとは Zend_Controller_Front
とルータ、
ディスパッチャそしてコントローラクラスの間でやり取りされる単純なバリューオブジェクトです。
これはコントローラ、アクションそして環境 (HTTP、CLI、PHP-GTK など)
に応じたその他のパラメータの内容をまとめたものです。
モジュール名にアクセスするには
getModuleName()
および
setModuleName()
を使用します。
コントローラ名にアクセスするには
getControllerName()
および
setControllerName()
を使用します。
コントローラ内でコールするアクションの名前にアクセスするには
getActionName()
および
setActionName()
を使用します。
アクションからアクセスできるパラメータは
キー/値 の組み合わせの連想配列となります。これらを取得するには
getParams()
を、そして設定するには
setParams()
を使用します。各パラメータを個別に扱うには
getParam()
および setParam()
を使用します。
リクエストの型によっては、その他のメソッドが使用できることもあります。
たとえば、デフォルトのリクエストで使用する
Zend_Controller_Request_Http
の場合は、
リクエストされた URI やパス情報、
$_GET
パラメータや $_POST
パラメータを取得するメソッドが使用可能となります。
リクエストオブジェクトはフロントコントローラに渡されます。 もしリクエストオブジェクトがなかった場合は、 ディスパッチ処理の最初 (ルーティングが発生する前) にインスタンスが作成されます。これは、 ディスパッチチェインのすべてのオブジェクトに渡されていきます。
さらに、リクエストオブジェクトはテストの際にも有用です。 開発者がリクエストを作成し、コントローラやアクション、 パラメータや URI などを指定してそれをフロントコントローラに渡すことで、 アプリケーションの流れをテストすることができます。 レスポンスオブジェクト と組み合わせて使用すると、 MVC アプリケーションの精密で正確な単体テストが可能となります。
Zend_Controller_Request_Http
は、関連する値へのアクセスをカプセル化します。
たとえばコントローラやアクションルータの変数のキー名や値、
URI からパースした追加のパラメータの値などにアクセスできます。
Zend_Controller_Request_Http
のプロキシとして動作することで、
スーパーグローバルの値にパブリックメンバとしてアクセスしたり、
現在のベース URL やリクエスト URI を管理することもできます。
スーパーグローバルの値はリクエストオブジェクトに設定することはできません。
そのかわりに setParam/getParam メソッドを使用して、
パラメータを設定あるいは取得します。
スーバーグローバルデータ | |
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特定のスーパーグローバルにアクセスするには、
パブリックメソッドを使用する方法もあります。たとえば、
$_POST['user']
の値を取得するには、リクエストオブジェクト上で
getPost('user')
をコールします。同様に、
$_GET
要素の場合は getQuery()
、
リクエストヘッダの場合は getHeader()
を使用します。
GET および POST データ | |
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リクエストオブジェクトのデータを扱う際には注意しましょう。 これらのデータは、一切フィルタリングを行っていません。 ルータやディスパッチャのほうで適切な検証とフィルタリングを行うので、 リクエストオブジェクト内のデータはそのままにしておきましょう。 |
ユーザパラメータをリクエストオブジェクトに設定するには
setParam()
を、後でそれを取得するには
getParam()
を使用します。
ルータは、リクエスト URI にマッチしたパラメータを
リクエストオブジェクトに設定する際にこの機能を使用します。
getParam() でのユーザパラメータ以外の取得 | |
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Zend_Controller_Request_Http
は、
サブディレクトリで Zend_Controller_Router_Rewrite を使用することができます。
Zend_Controller_Request_Http は自動的にベース URL を検出し、
それを適切に設定します。
たとえば、index.php
をウェブサーバのサブディレクトリ
/projects/myapp/index.php
においた場合は、ベース URL
(rewrite base) は /projects/myapp
にしなければなりません。
マッチするルートを見つける前に、この文字列がパスの先頭から取り除かれます。
これにより、すべてのルートに余計な文字を追加する必要がなくなります。
ルート 'user/:username'
は、
http://localhost/projects/myapp/user/martel
および
http://example.com/user/martel
の両方にマッチするようになります。
URL の検出は大文字小文字を区別します | |
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自動的なベース URL の検出処理は大文字小文字を区別します。そのため、 URL とファイルシステムのサブディレクトリ名が確実に一致する必要があります (たとえ Windows マシンであっても同様です)。大文字小文字が一致しなかった場合は、 例外が発生します。 |
ベース URL の検出に失敗する場合は、
Zend_Controller_Request_Http
クラス、あるいは
Zend_Controller_Front
クラスの
setBaseUrl()
メソッドを使用して
ベースパスを上書き指定することができます。
一番簡単な方法は Zend_Controller_Front
で設定することです。
この設定はリクエストオブジェクトに引き継がれます。
独自のベース URL を設定する例を示します。
<?php /** * Zend_Controller_Front で独自のベース URL を指定することによるリクエストのディスパッチ */ $router = new Zend_Controller_Router_Rewrite(); $controller = Zend_Controller_Front::getInstance(); $controller->setControllerDirectory('./application/controllers') ->setRouter($router) ->setBaseUrl('/projects/myapp'); // ベース URL を指定します! $response = $controller->dispatch(); ?>
すべてのリクエストオブジェクトクラスは、抽象クラス
Zend_Controller_Request_Abstract
を継承しています。
このクラスでは、次のようなメソッドを定義しています。
abstract class Zend_Controller_Request_Abstract { /** * @return string */ public function getControllerName(); /** * @param string $value * @return self */ public function setControllerName($value); /** * @return string */ public function getActionName(); /** * @param string $value * @return self */ public function setActionName($value); /** * @return string */ public function getControllerKey(); /** * @param string $key * @return self */ public function setControllerKey($key); /** * @return string */ public function getActionKey(); /** * @param string $key * @return self */ public function setActionKey($key); /** * @param string $key * @return mixed */ public function getParam($key); /** * @param string $key * @param mixed $value * @return self */ public function setParam($key, $value); /** * @return array */ public function getParams(); /** * @param array $array * @return self */ public function setParams(array $array); /** * @param boolean $flag * @return self */ public function setDispatched($flag = true); /** * @return boolean */ public function isDispatched(); }
リクエストオブジェクトは、リクエスト環境のコンテナとなります。 コントローラチェインが知っておくべきことは、 コントローラやアクション、オプションパラメータ、ディスパッチ状況 を取得したり設定したりする方法だけです。 デフォルトでは、リクエストオブジェクトが コントローラおよびアクションを決定する際には キー controller あるいは action を使用します。
このクラスかその派生クラスのいずれかを継承したクラスを作成することで、 上で説明した作業を独自のものに変更したクラスを作成することができます。 例としては、たとえば HTTP 環境用 のクラスや CLI 環境用、PHP-GTK 環境用のクラスがあります。