Zend_Service_Akismet
は、Akismet API
のクライアント機能を提供します。Akismet サービスは、
入力データがスパムかどうかを判定するために用いられます。
また、あるデータを「スパムである」とか「無実である (ハム)」
などと登録するためのメソッドも公開しています。
もともとは Wordpress 向けのスパムを識別するために作られたものですが、
あらゆる型のデータに対して使用できます。
Akismet を使用するには API キーが必要です。 キーを取得するには WordPress.com でアカウントを作成します。blog を作成する必要はありません。 単にアカウントを作成するだけで API キーが使用できます。
さらに、Akismet を使用する場合は、
フィルタリングしたいデータを指す URL を指定してリクエストする必要があります。
Akismet は WordPress 向けに作られたものであることから、
これは blog url と呼ばれます。
これは、コンストラクタの二番目の引数として渡さなければなりません。
ただ、いつでも setBlogUrl()
で変更することができますし、
その他のメソッドコールの際に 'blog' キーを指定して上書きすることもできます。
Zend_Service_Akismet::verifyKey($key)
を使用して、Akismet API キーが有効かどうかを検証します。
たいていの場合は特に検証する必要もないでしょうが、
改ざんされていないかどうか調べたり、
新しく取得したキーが実際に使用可能かどうかを調べたり
といった場合にこのメソッドを使用します。
<?php require_once 'Zend/Service/Akismet.php'; // API キー、そしてアプリケーションやリソースへの URL // を指定してインスタンスを作成します $akismet = new Zend_Service_Akismet($apiKey, 'http://framework.zend.com/wiki/'); if ($akismet->verifyKey($apiKey) { echo "このキーは有効です。\n"; } else { echo "このキーは無効です。\n"; } ?>
引数を指定せずにコールすると、verifyKey()
はコンストラクタで指定した API キーを使用します。
verifyKey()
は、Akismet の
verify-key
REST メソッドを実装したものです。
Zend_Service_Akismet::isSpam($data)
を使用して、Akismet がそのデータをスパムとみなすかどうかを調べます。
引数はひとつで、ここに連想配列を指定することができます。
この配列には、次のキーを設定しなければなりません。
user_ip
は、データを送信したユーザの
IP アドレスです (あなたの IP アドレスではなく、
あなたのサイトを使用しているユーザの IP アドレスです)。
user_agent
は、データを送信したユーザの
UserAgent 文字列 (ブラウザおよびバージョン) です。
以下のキーも、API 側で認識されます。
blog
は、リソースやアプリケーションを指す
完全な URL です。指定しなかった場合は、
コンストラクタに渡した URL を使用します。
referrer
は、送信時の
HTTP_REFERER ヘッダの内容です
(スペルに注意しましょう。ヘッダの名前とは異なります)。
permalink
は、送信するデータの永続的な場所
(もしあれば) です。
comment_type
は、データの形式です。
ここで指定する値は API で定義されており、
'comment'、'trackback'、'pingback' およb
空の文字列 ('') などがあります。しかし、
任意の値を指定することができます。
comment_author
は、データの送信者の名前です。
comment_author_email
は、
データの送信者のメールアドレスです。
comment_author_url
は、
データの送信者の URL あるいはホームページです。
comment_content
は、
実際に送信されたデータの内容です。
その他の環境変数の内容を送信し、 そのデータがスパムであるかどうかの判断材料とさせることもできます。 Akismet は、$_SERVER 配列の中身をすべて送信することを推奨しています。
isSpam()
メソッドは true あるいは false を返します。
API キーが無効な場合は例外をスローします。
例 29.1. isSpam() の使用法
<?php $data = array( 'user_ip' => '111.222.111.222', 'user_agent' => 'Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.2; en-GB; rv:1.8.1) Gecko/20061010 Firefox/2.0', 'comment_type' => 'contact', 'comment_author' => '誰かさん', 'comment_author_email' => 'nospam@myhaus.net', 'comment_content' => "スパマーじゃないもん。信じて!" ); if ($akismet->isSpam($data)) { echo "悪いけど、たぶんあなたはスパマーでしょう。"; } else { echo "私たちのサイトへようこそ!"; } ?>
isSpam()
は、Akismet API のメソッド
comment-check
を実装したものです。
時には、スパムがフィルタを通過してしまうこともあります。 フィルタを通過したデータの中に、もし「これはスパムだろう」 というものが見つかったら、それを Akismet に送信しましょう。それにより、フィルタの性能が向上します。
Zend_Service_Akismet::submitSpam()
に指定する配列は、
isSpam()
に渡すものと同じ形式です。
しかし、このメソッドは値を返しません。
API キーが無効な場合は例外が発生します。
例 29.2. submitSpam() の使用法
<?php $data = array( 'user_ip' => '111.222.111.222', 'user_agent' => 'Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.2; en-GB; rv:1.8.1) Gecko/20061010 Firefox/2.0', 'comment_type' => 'contact', 'comment_author' => '誰かさん', 'comment_author_email' => 'nospam@myhaus.net', 'comment_content' => "スパマーじゃないもん。信じて!" ); $akismet->submitSpam($data)); ?>
submitSpam()
は、Akismet API のメソッド
submit-spam
を実装したものです。
時には、Akismet が間違ってスパムと判定してしまうこともあります。 そのため、Akismet がスパムと判断したデータのログを定期的にチェックする必要があります。 このような現象を発見したら、そのデータを Akismet に「ハム」 あるいは無実のデータとして送信しましょう (ハムは善玉、スパムは悪玉です)。
Zend_Service_Akismet::submitHam()
に指定する配列は、
isSpam()
や submitSpam()
に渡すものと同じ形式です。また、
submitSpam()
と同様、値を返しません。
API キーが無効な場合は例外が発生します。
例 29.3. submitHam() の使用法
<?php $data = array( 'user_ip' => '111.222.111.222', 'user_agent' => 'Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.2; en-GB; rv:1.8.1) Gecko/20061010 Firefox/2.0', 'comment_type' => 'contact', 'comment_author' => '誰かさん', 'comment_author_email' => 'nospam@myhaus.net', 'comment_content' => "スパマーじゃないもん。信じて!" ); $akismet->submitHam($data)); ?>
submitHam()
は、Akismet API のメソッド
submit-ham
を実装したものです。
Akismet API では四つのメソッドしか定義されていませんが、
Zend_Service_Akismet
では
それ以外のアクセス用メソッドも用意しています。
これらを使用して、内部のプロパティを変更します。
getBlogUrl()
および setBlogUrl()
は、リクエストで使用する blog URL を取得したり変更したりします。
getApiKey()
および setApiKey()
は、リクエストで使用する API キーを取得したり変更したりします。
getCharset()
および setCharset()
は、リクエストで使用する文字セットを取得したり変更したりします。
getPort()
および setPort()
は、リクエストで使用する TCP ポートを取得したり変更したりします。
getUserAgent()
および setUserAgent()
は、リクエストで使用する HTTP ユーザエージェントを
取得したり変更したりします。
注意: これは、サービスに送信するデータの user_agent
ではありません。サービスへのリクエストを作成する際に
HTTP User-Agent ヘッダで指定する内容となります。
ユーザエージェントに設定する値は
some user agent/version | Akismet/version
形式でなければなりません。デフォルトは
Zend Framework/0.7.0 | Akismet/1.11
です。