19.3. フォーマッタ

フォーマッタの役割は、event 配列からイベントの内容を受け取り、 それを文字列としてフォーマットして出力することです。

ライターによっては行指向ではないものもあります。そのような場合はフォーマッタは使用できません。 たとえばデータベースライターなどがその例で、 これはイベントの項目を直接データベースのカラムに書き出します。 フォーマッタをサポートできないライターに対してフォーマッタを設定しようとすると、 例外がスローされます。

19.3.1. 単純なフォーマット

Zend_Log_Formatter_Simple はデフォルトのフォーマッタです。 これは、何もフォーマッタを指定しなかった場合に自動的に設定されます。 デフォルトの設定は、次のようになります。

<?php

$format = '%timestamp% %priorityName% (%priority%): %message%' . PHP_EOL;
$formatter = new Zend_Log_Formatter_Simple($format);

?>

フォーマッタを個々のライターオブジェクトに対して設定するには、ライターの setFormatter() メソッドを使用します。

<?php

$writer = new Zend_Log_Writer_Stream('php://output');
$formatter = new Zend_Log_Formatter_Simple('hello %message%' . PHP_EOL);
$writer->setFormatter($formatter);

$logger = new Zend_Log();
$logger->addWriter($writer);

$logger->info('there');

// "hello there" と出力します

?>

Zend_Log_Formatter_Simple のコンストラクタには、 パラメータとして書式指定文字列を渡すことができます。 この文字列には、キーをパーセント記号で囲んだもの (例. %message%) を含めます。 書式指定文字列には、イベントデータの配列の任意のキーを含めることができます。

19.3.2. XML へのフォーマット

Zend_Log_Formatter_Xml は、ログのデータを XML 文字列に変換します。 デフォルトでは、イベントデータ配列のすべての項目を自動的に記録します。

<?php

$writer = new Zend_Log_Writer_Stream('php://output');
$formatter = new Zend_Log_Formatter_Xml();
$writer->setFormatter($formatter);

$logger = new Zend_Log();
$logger->addWriter($writer);

$logger->info('通知メッセージ');

?>

上のコードの出力は、次のような XML になります (可読性を確保するため空白を補っています)。

<logEntry>
  <timestamp>2007-04-06T07:24:37-07:00</timestamp>
  <message>通知メッセージ</message>
  <priority>6</priority>
  <priorityName>INFO</priorityName>
</logEntry>

ルート要素を変更したり、XML の要素名とイベントデータ配列の項目名の対応を指定したりすることも可能です。 Zend_Log_Formatter_Xml のコンストラクタの最初のパラメータには、 ルート要素の名前を指定します。また、 二番目のパラメータには要素名の対応を表す連想配列を指定します。

<?php

$writer = new Zend_Log_Writer_Stream('php://output');
$formatter = new Zend_Log_Formatter_Xml('log', array('msg' => 'message', 'level' => 'priorityName'));
$writer->setFormatter($formatter);

$logger = new Zend_Log();
$logger->addWriter($writer);

$logger->info('通知メッセージ');

?>

上のコードは、ルート要素の名前をデフォルトの logEntry から log に変更します。また、要素名 msg をイベントデータの項目 message に対応させます。 出力結果は次のようになります。

<log>
  <msg>通知メッセージ</msg>
  <level>INFO</level>
</log>