インデックスの作成機能および更新機能は、 Zend_Search_Lucene モジュールと Java Lucene で実装されています。 これらの両方の機能を使用することができます。
以下の PHP コードでは、Zend_Search_Lucene のインデックス作成 API を用いてファイルをインデックス化する例を示します。
<?php // インデックスを作成します $index = Zend_Search_Lucene::create('/data/my-index'); $doc = new Zend_Search_Lucene_Document(); // ドキュメントの URL を、検索結果の ID として保存します。 $doc->addField(Zend_Search_Lucene_Field::Text('url', $docUrl)); // ドキュメントの内容をインデックス化します。 $doc->addField(Zend_Search_Lucene_Field::UnStored('contents', $docContent)); // ドキュメントをインデックスに追加します。 $index->addDocument($doc); ?>
新しく追加されたドキュメントは、 すぐにインデックスから取得できるようになります。
既存のインデックスを更新する際にも同じ手順を使用します。ただひとつの違いは、 create() メソッドではなく open() メソッドをコールするということです。
<?php // 既存のインデックスをオープンします。 $index = Zend_Search_Lucene::open('/data/my-index'); $doc = new Zend_Search_Lucene_Document(); // ドキュメントの URL を、検索結果の ID として保存します。 $doc->addField(Zend_Search_Lucene_Field::Text('url', $docUrl)); // ドキュメントの内容をインデックス化します。 $doc->addField(Zend_Search_Lucene_Field::UnStored('contents', $docContent)); // ドキュメントをインデックスに追加します。 $index->addDocument($doc); ?>
Lucene インデックスファイルは、ドキュメントの更新をサポートしていません。 更新するためには、いったん削除した上で改めて追加する必要があります。
そのためには、インデックス内部のドキュメント ID を使用して
Zend_Search_Lucene::delete()
メソッドをコールします。
この ID は、クエリでヒットした内容から 'id' プロパティで取得できます。
<?php $removePath = ...; $hits = $index->find('path:' . $removePath); foreach ($hits as $hit) { $index->delete($hit->id); } ?>
Zend_Search_Lucene のインデックスの大きさを知るには、二通りの方法があります。
Zend_Search_Lucene::maxDoc()
は、
最大のドキュメント番号にひとつ足した値を返します。
これは、削除されたドキュメントを含む、インデックス内のドキュメントの総数を表します。
そこで、このメソッドのシノニムとして Zend_Search_Lucene::count()
を用意しました。
Zend_Search_Lucene::numDocs()
は、削除されていないドキュメントの総数を返します。
<?php $indexSize = $index->count(); $documents = $index->numDocs(); ?>
Zend_Search_Lucene::isDeleted($id)
メソッドで、そのドキュメントが削除されているかどうかを調べます。
<?php for ($count = 0; $count < $index->maxDoc(); $count++) { if ($index->isDeleted($count)) { echo "ドキュメント #$id は削除されました。\n"; } } ?>
インデックスの最適化を行うと、削除されたドキュメントを取り除き、 ドキュメントの ID を前のほうに詰め込みます。 つまり、内部でのドキュメント ID は変わる可能性があります。
Lucene のインデックスは、セグメントから構成されます。 各セグメントはデータの一部分を表し、それぞれ完全に独立しています。
Lucene インデックスセグメントのファイルは、その性質上更新することはできません。 セグメントを更新するには、セグメント全体を再構成する必要があります (Lucene インデックスファイルのフォーマットについての詳細は、 http://lucene.apache.org/java/docs/fileformats.html を参照ください)。このことより、新しいドキュメントをインデックスに追加する際には、 新しいセグメントを作成することになります。
セグメントの数が増えるとインデックスの効率が下がります。 しかし、インデックスの最適化によってこれを修復することができます。 最適化により、複数のセグメントに分かれているデータがひとつにまとめられます。 この処理も、セグメントを更新することはありません。まず大きなセグメントを新しく作成し、 これまでいくつものセグメントに分かれていたデータをひとまとめにしてそこに格納し、 その後でセグメント一覧 ('segments' ファイル) を更新します。
インデックス全体の最適化を行うには、Zend_Search_Lucene::optimize()
をコールします。これは、すべてのインデックスセグメントを新しいひとつのセグメントにまとめます。
<?php // 既存のインデックスをオープンします $index = Zend_Search_Lucene::open('/data/my-index'); // インデックスを最適化します $index->optimize(); ?>
自動的なインデックス最適化により、インデックスの一貫性を保ちます。
自動的な最適化は、いくつかのインデックスオプションにもとづいて段階的に進められます。 まず非常に小さなセグメントが少し大きめのセグメントに統合され、 さらにそれがもう少し大きな別のセグメントに統合され、... といった具合です。
MaxBufferedDocs は、メモリ内に溜め込まれたドキュメントを 新しいセグメントに書き出す際の最小ドキュメント数です。
MaxBufferedDocs の値の取得や設定は、$index->getMaxBufferedDocs()
あるいは $index->setMaxBufferedDocs($maxBufferedDocs)
のコールによって行います。
デフォルト値は 10 です。
MaxMergeDocs は、addDocument() によってまとめられる最大のドキュメント数です。小さな値 (例えば 10.000 未満) は、対話的にインデックスを作成していく際に有効です。 これにより、インデックス化の際の処理の中断時間を数秒に抑えられます。 大きな値は、バッチ処理の際に有効です。これにより、検索をより高速に行えるようになります。
MaxMergeDocs の値の取得や設定は、$index->getMaxMergeDocs()
あるいは $index->setMaxMergeDocs($maxMergeDocs)
のコールによって行います。
デフォルト値は PHP_INT_MAX です。
MergeFactor は、addDocument() でセグメントをまとめる頻度を指定します。 小さな値を指定すると、インデックス作成の際に使用する RAM の量を抑えられます。 また最適化されていないインデックスへの検索が高速になります。しかし、 インデックス作成の速度は遅くなります。大きな値を指定すると、インデックス作成の際の RAM の使用量が多くなります。また最適化されていないインデックスへの検索速度が落ちます。 しかしインデックスの作成は高速に行えます。大きな値 (> 10) はバッチ的なインデックス作成の際に有効で、小さな値 (< 10) は対話的なインデックス保守の際に有効です。
MergeFactor は、自動最適化が行われる平均セグメント数にほぼ等しくなります。 あまり大きな値を指定すると、新しいセグメントにまとめる前に セグメント数が多くなってしまいます。これは "failed to open stream: Too many open files" というエラーの原因となります。制限は、システムに依存します。
MergeFactor の値の取得や設定は、$index->getMergeFactor()
あるいは $index->setMergeFactor($mergeFactor)
のコールによって行います。
デフォルト値は 10 です。
Lucene Java および Luke (Lucene Index Toolbox - http://www.getopt.org/luke/) を使用してインデックスを最適化することもできます。